空き缶をペシャンコに押しつぶす大気圧の力

空き缶をペシャンコに押しつぶす大気圧の力

前回の「空気が押してくるのお話」で大気圧は1平方センチメートルあたり1キログラム*1ぐらいの力だ、というお話をいたしました。手のひらぐらいの面積だと、30キログラムぐらいの力で押されるということでしたね。

空気が押してくるのお話

これだけ強い力ですから、うまく利用すれば、ものを押さえたりつぶしたりできそうですよね。今回はその代表例のひとつ、「空き缶つぶし」の実験をご紹介します。

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どのくらいの力か?

空き缶の側面は、手のひら4つ分ぐらいの面積がありますよね?ですから、空き缶は大気から100キログラムを優に超える力で押されていることになります。もちろん、ふだんは缶の内側からも同じ力で押されているので、空き缶はつぶれません。

缶の内側の空気をなくしてやれば、外からの大気圧だけが残るので、缶はつぶれてしまうに違いありません。どうやって内側の空気をなくしましょうか。ポンプで吸い出すとか。・・・そうですね、それでもいいのですが、おうちにそんなポンプなんてありませんよね。もう少し違った方法を試してみましょう。

缶から空気を追い出そう

こういう手順で、缶の中から空気を追い出します。

  • 準備するもの
    • 空き缶(アルミ缶*2
    • 鍋つかみ(火ばさみを持つため)
    • 火ばさみ
    • 洗面器
  • 手順
    1. 水を洗面器にたっぷり入れておきます。氷水だとなおよいです。
    2. 空き缶に水をスプーン1~2杯入れます。
    3. 鍋つかみで持った火ばさみで缶をはさみ、ガスコンロの火にかけます(素手で火ばさみを持つとやけどしますので注意!)。水が沸騰して、湯気が缶の口から勢いよく出始めるまで続けます。
    4. 湯気が出始めたら、缶の口を洗面器の水につけます。ここは思い切って勢いよくつけましょう。
    5. 缶がグシャッとつぶれます。

 

 

動画はこちらです。あっという間につぶれるんですよ。超忙しい人は30秒ぐらいからご覧ください。

 

この実験では、手順3で蒸発した水蒸気が缶から空気を追い出しています。このときは、缶の中には空気のかわりに水蒸気が入っていますので、やはり缶はつぶれません。しかし、手順4では水蒸気が冷やされて一気に水に戻るため、缶の中がほぼカラッポになり、外からの大気圧で缶がつぶれるというわけです。

 

これ、本当に1分くらいでできる簡単な実験なので、おうちで試してみてはいかがでしょう。火を使いますので、やけどに十分気をつけてください。

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気圧シリーズへのリンク

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そもそも気圧の仕組みが気になる方はコチラ

気圧のしくみ

参考

    • 子どもにウケる科学手品77―簡単にできてインパクトが凄い (ブルーバックス) 後藤道夫 著

出典

この記事はちゅーピー子ども新聞 29号(2011年1月16日発行)7面に掲載した記事を加筆修正したものです。

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*1:正確には「キログラム重」といいます。

*2:スチール缶は硬くてうまくつぶれないかもしれません。アルミ缶ならば軟らかいので、簡単につぶれます。

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