空き缶が転がらないのお話・まとめ

空き缶が転がらないのお話・まとめ

空き缶の話のまとめです。【1】の話でご紹介したように、空き缶の中に粘土をうまく詰めると、坂道に置いても転がりません。【2】の記事では、何も詰めていない空き缶を坂道に置くと転がる理由を考えました。今回はいよいよ、粘土を詰めた空き缶が坂道で転がらない理由を考えてみましょう。

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抗力が重力を支えられるか?

まずおさらいですが、ただの空き缶を坂道に置くと、図のように重力と抗力の矢印がずれてしまうため、反時計回りに回転してしまうのでした。

では、粘土を詰めた空き缶だとどうなるのでしょうか。粘土を詰めると、重心は缶の真ん中から粘土の方向にずれた位置になります(重心って、重いものの方に寄りますよね)。

この缶を坂道に置くと、次の図のようになりますよね・・・あれっ、結局回転してしまうじゃないかって?確かにこの図を見るとそうなりそうですね。

こうすればOK

しかし、ちょっと置き方を工夫してみましょう。粘土をはり付けた位置を、心もち「後ろの方」にしてみると、こうなります(下の右側の図を見てください)。この図を見ると、重力と抗力がうまく打ち消しあって、空き缶がその場にとどまることが分かります。

実際にやってみて写真を撮りました。こんな感じです(うっかり左右逆で写真を撮ってしまったので、画像を反転させています)。

拡大すると、こんな感じになっていると思われます。重心が粘土の方に寄ってるんですよね。

このように、物が転がるかどうかは、「抗力で支えられる位置に重心があるかどうか」で決まるのです。そういう意識で身のまわりを注意深く観察してみると、意外な発見があるかもしれませんよ。

空き缶シリーズへのリンク

【1】空き缶が転がらない|【2】続・空き缶が転がらない|【3】一旦まとめ|【4】転がる=転ぶ?|【5】空き缶が倒れない

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出典

この記事はちゅーピー子ども新聞 2010年10月号(10月1日発行)10面に掲載した記事を加筆修正したものです。

 

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