ボールをすごい速さで投げたらのお話

ボールをすごい速さで投げたらのお話

メジャーリーグやプロ野球の放映を見ていると、ときどき外野からすごいスピードの送球が返ってきて、ランナーがアウトになることがありますね。よく「レーザービーム」などと言いますね。

ボールをものすごい速さで投げると、一体どこまで飛んでいくのでしょう。「投げると」と言っても人間の力には限りがありますから、理屈の上ではどうなるかということを考えてみましょう。空気抵抗のことを考えるのは大変なので、考えないことにします。

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考えてみましょう

まず考えるための条件をそろえます。ボールはまっすぐ前に投げるよりも、少し山なりにした方が遠くに届きますね。といっても、山なりすぎるとあまり遠くに届きません。これでは比較になりませんので、「ボールはまっすぐ前に投げる」という条件で比べましょう。

図を見てみると、当たり前ですが「投げ出す速さが速いほど、遠くまで飛んでいって地面に落ちる」に違いないと思いますね。投げる力さえあれば、100mでも200mでも、1kmでも2kmでも・・・いくらでも遠くまで届きそうです。次の図では、リスのハカセが大砲のようなものを使って、ものすごい速さでボールを撃ち出しています。

この図ではどこまで飛んでいくのか分からないので、もっと広い範囲を見てみましょう。ぐぐっと遠ざかってみますと・・・さすがに少しずつボールは落ちてきていますね。いくら速く投げても、重力がかかっているので地面に向けて落ちていきますものね。でも、おや、地面が丸く・・・。そうでした、地面は地球の一部ですから、真っ平らではなくて丸いのですよね。

どこまで飛んでいくのか?

このボール、どこまで飛ぶんでしょうね。もっと遠くから見てみましょう。ボールは少しずつ地面に向かって落ちていきますが・・・地面も同じように丸くなるとすると・・・あれあれ、ボールは落ちても落ちても地面に達することができません!

次の図の中に青い矢印で「地面」の向きを示していますので、ゆっくり想像してみてください。ボールは飛びながら、そのときそのときの地面の方向に落ちていっているのですが、地面も曲がっていくのでいつまでたっても地面に達しないような気がします。このままだとボールは地球を1周して頭の後ろからもどってきそうですね。

 

計算上は、時速28000kmぐらい(秒速7.9km)のスピードがあれば地球を1周してもどってくることができます。プロ野球のピッチャーの球速の最高記録は時速162kmぐらいですから、ふだんの感覚ではちょっと理解しにくい話かもしれませんね。たまにはこういう極端なことを考えてみるのも楽しいでしょう。

その他の情報

この速さ(秒速7.9km)のことを「第一宇宙速度」といいます。興味のある方はこちらなど・・・。第二宇宙速度・第三宇宙速度などという用語の解説もあります。

また、「ボイジャー1号・2号が太陽圏を脱出」というニュースがありました(コチラなど)。地球どころか太陽系も飛び出してしまうボイジャー1号は、太陽から見て秒速17kmぐらいで飛んでいるそうです(wikipedia, NASA)。

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出典

この記事はちゅーピー子ども新聞 91号(2013年8月18日発行)7面に掲載した記事を加筆修正したものです。

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