さめたお茶を温めるには

さめたお茶を温めるには

寒くなってくると飲みたくなるのが熱いお茶。出しっ放しにして冷めてしまったお茶を電子レンジで温めましょう!

・・・でも最近の電子レンジって、なんか複雑で・・・どこを押したらいいんでしょうか?

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簡単なボタンがあった

複雑な自動メニュー(やや矛盾した言い方ですが)の他に、「ワット数」と「あたため時間」を指定するモードがありました。これなら、あまり迷わなくていいですね。何となく1000W(ワット)で1分にしてみましょう!

・・・ちょっと待ってくださいね。1分でいいんでしょうか?熱くなりすぎたり、ぬるかったりしませんかね?ちょうどよく温まりたいときにイマイチな温度になってしまうと、気分があまりよくありませんよね。

計算してみましょう

でも一応、温める前に計算してみることができます!例えば1000Wで1分(60秒)温めるとどのくらい温度が上がるでしょうか?

そもそも「W(ワット)」とは「1秒間に何J(ジュール)のエネルギーを与えるか」という数値です。つまり「1000W」とは「1秒間に1000Jのエネルギーがお茶に加えられる」という意味です。エネルギーはこの場合「熱」と置き換えてもOKです。

「1000W」とは「1秒間に1000Jのエネルギーがお茶に加えられる」という意味

また、お茶(≒水)の温度の上がりやすさは「比熱」といって、数値で表されています。具体的には、水1gの温度を1℃上昇させるためには約4.2Jのエネルギーが必要、と分かっています。

水1gの温度を1℃上昇させるためには約4.2Jのエネルギーが必要

さらに、カップに入れたお茶(≒水)はだいたい200gぐらいです。よく「1カップ200ミリリットル」とか言いますよね。200ミリリットルの水はほぼ200gです*1

カップ1杯の水はほぼ200g

 

以上をまとめると、次のような計算ができます。

1000Wで60秒温めると、1000×60=60000Jのエネルギーがお茶に加えられる。

お茶1gの温度を1℃上げるには4.2J必要だ。

お茶200gの温度を1℃上げるには、4.2×200=840J必要だ。

ということは、60000Jで上げられる温度は、60000/840≒71℃ぐらいだろう!

だいたい室温が20℃ぐらいだとしますと、71℃も上がってしまってはちょっと熱すぎかもしれませんね。といっても、お茶だけでなくカップも温まりますし、周囲の空気に熱が伝わっていって冷めたりもするでしょうから、そこまで都合良くいかないかもしれません。ですのでいろいろな時間で実験をしてみました。

実験してみました

実験は、次のように行いました。

1.水を計量カップで200ミリリットル量ってカップに入れ、最初の温度を測る。

2.電子レンジで温める。温め時間は30秒・60秒・90秒・120秒の4つを試しました。

3.再び水の温度を測る。

結果の表がこちらです。90秒と120秒では、温度上昇の理論値(上記のようにして計算した値)をもとの温度に足すと100℃を越えてしまいますが、まあ単なる計算上の値として眺めていただければありがたいです。

グラフにした方が分かりやすいかな?

このグラフはクッキリ分かりやすいですね!あたため時間に比例して温度が上昇しているのが分かります。また、やはり予想通り、理論値に比べると実際の温度上昇は少し低いですね。周囲の空気に熱が逃げていったりしているのでしょうね。

ちょっと面白いのは、実際と理論値の比率(緑の線)ですね。なぜか一度盛り上がってから下がっています。素朴に想像すると、温度上昇が高い場合の方が、周囲に熱が逃げて行きやすいでしょうから、この比率は下がっていくと思うんですけどね(実際、60秒より右側ではそういう傾向が見られています)。

まあ、わりと適当にやった実験ですし、そもそも誤差がどのくらいあるかも分からないので、もう一度試してみたら違う結果になるかもしれません。

また、2分以上温めると、おそらく水が大いに沸騰して、あまり温度が上がらなくなるでしょうね。2分の場合でも、水がボコボコ泡立ち始めていましたから・・・。

とりあえず便利な数字!

意外と幅広い範囲で、あたため時間と温度上昇との間に比例関係が成り立っていました。というわけで、この数字を覚えておくと便利だと思います。

1カップ、1分温めると40℃温度が上がる。

「1カップ1分、40℃」と呪文のように唱えると覚えやすそうですね。「わんかっぷ いっぷん よんじゅうど」これを覚えておけば、まあ室温が20℃ぐらいだとしまして、1分温めれば60℃になります。まあほどよい熱さですね。もっと熱々がいい場合は2分・・・だとちょっと行きすぎですね。「1分=40℃」ですから、2分だと計算上は80℃も上昇!すなわち100℃に達してしまいそうです(実際はそこまでいかないんでしょうけど)。ですので2分じゃなくて1分40秒ぐらいかな・・・とか、自分で加減することができますね。

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*1:水じゃなくて油だったりしたら、もっと軽くなります。こういう、体積と質量の比率を「密度」と言います。

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