水をかき回すと熱くなるのお話

水をかき回すと熱くなるのお話

皆さんは、ミキサーでジュースやポタージュスープを作ったことはありますか?果物や野菜を中に置いてスイッチを入れると、ミキサーがグィーンと回って、果物や野菜がどんどん小さく刻まれていきますね。このとき、温度も変化しているような気がしませんか?

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熱くなっている気が

特に念入りに刻もうと思って長い時間ミキサーを回していると、何だか熱くなるな・・・と思ったことはありませんか。そう、実は、水は(もちろん果汁や野菜の汁も)かき混ぜるとだんだん熱くなってくるのです。

これは、消しゴムで紙を何度もこすっていると熱くなるのと似た現象です。物に力を加えて動かすことを理科の用語で「仕事」と言いますが、この「仕事」が熱エネルギーに変わって周りのものを温めるわけです。仕事や熱の量は「J(ジュール)」という単位で表します。

まず計算だ

では、ミキサーでどのくらい温度が上がるのでしょうか。試してみればよいのですが、その前に少し計算をしてみましょう。ミキサーのような電化製品は「消費電力」という数値が決まっています。ちょうど手元にあるミキサーには220W(ワット)と書かれています。これは「1秒あたり220Jの電気エネルギーを使う」という意味です。この電気エネルギーがミキサーの羽根を回す仕事にかわり、それがまた水を温める熱エネルギーにかわります。

水1gの温度を1℃上げるためには4.2Jの熱が必要ですので、例えば500g(500ミリリットル)の水をこのミキサーで2分間(120秒間)かき回すとすると、以下のような計算が成り立ちます。

ミキサーからもらえる熱エネルギー26400Jは、水温を10℃上げるための熱エネルギー21000Jよりも少し多いですね。ということは、水温は10℃以上上がりそうです。ちゃんと計算すると、26400÷2100=12.5…となるので、約12~13度上がると予想できます。

実験だ

では実験してみましょう。水500gをミキサーに入れて温度を測り、120秒間ミキサーを回してまた温度を測ります。結果は・・・

このように「およそ3℃の上昇」となりました。計算の4分の1程度になってしまいましたね。これは、消費電力が全てミキサーの回転に使われているのではなく、電気回路での発熱など、水に伝わらないエネルギーに変わっているためかもしれませんね。あるいはミキサーを回している間にもどんどん水から外に熱が逃げていっているとか・・・。ミキサーを何かでくるんで実験してみるなど、追求すると楽しそうですね。

お風呂とは違いますよ

ところで、お風呂が熱いと思ったときにかき混ぜるとぬるくなるはずだが・・・と思った人もいるかもしれませんね。それは底の方にあった冷たい水と、上の方にあった熱い水が混ざってちょうどいい温度になっているのであって、今回の話とは違いますよ。このことは「対流のお話」に書きました。

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参考

  • kuwako-lab 「水筒を振り続けると、水温はあがるのか?あがるのか?」
  • 国立科学博物館に、手で羽根車をグルグル回して水をかき回し、水温を上げる展示があったと思うんですが・・・。

出典

この記事はちゅーピー子ども新聞 85号(2013年5月19日発行)7面に掲載した記事を加筆修正したものです。

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