野呂山の山頂で桜が満開になる日を予測!2025の山開きイベントも!

野呂山の山頂で桜が満開になる日を予測!2025の山開きイベントも!

「野呂山のてっぺんで桜が満開になるのはいつ?」

「こないだ行ったら下の方は満開なのに上は全然だった…」

そんな風に迷っていませんか?

野呂山は標高839mと、そこまで高い山というわけでもありません。しかしやはり海沿いに比べるとかなり気温が低いので、桜が咲く時期もだいぶ遅れます。

この記事では、呉市の海沿いと野呂山の山頂でどのくらい開花が遅れるのかについて、科学っぽい装いで検討してみたいと思います。実は推測できるんですよ!

2025年の山開きイベントの紹介もするので、ぜひ桜とともにイベントを楽しんでください!

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桜が開花するための条件は「寒」→「温」

春になると一斉に咲き誇る桜。なんとなく「桜は温かい地方で咲くんだろう」と思いがちですが、実は温かいだけではダメなんです。

桜が開花する準備: 十分な寒さが必要

桜が開花するためには準備段階として「冬の寒さ」が欠かせないことをご存じでしょうか。日本気象予報士会によると、以下のようなメカニズムが働いているとのことです(参考記事はこちら)。

桜の花芽(かが=花になる前の小さな芽)は、なんと前年の夏にはもうできています。そして秋になるといったん休眠状態に。そして一定期間の寒さを経たあとに、花芽は休眠状態から目覚めます。これを「休眠打破」と言います。

日本だと沖縄にはソメイヨシノはないらしいですが、それは沖縄は温かすぎてソメイヨシノの休眠打破ができないためです。

桜が開花する引き金: 600℃の法則

桜が十分な寒さを経験し、休眠打破をした後は、暖かさを積み重ねていくことで開花のスイッチが入ります。このとき指標となるのが「600℃の法則」と呼ばれる経験則です。

600℃の法則とは?
2月1日以降の最高気温を毎日足し算し、合計が約600℃に達する頃に桜が開花するという経験則
出典: ウェザーニュース

仮に最高気温が毎日12℃であれば、約50日(3月下旬)で達成する計算ですね。この600℃の法則は東京の靖国神社にある標本木で定められたものなので、この記事で考える広島県呉市の桜の木には厳密には当てはまらないのでしょうけど、おおまかな目安としては参考にできそうですね。

なお、以下の記事では「毎日の温度を足し合わせた数値」のことを「積算温度」と呼ぶことにしています。

標高が高いと開花が遅れる理由

標高の高い場所では桜の開花が遅いのは皆さまご存じの通りです。その原因は、標高が高い地点では気温が低いため、「600℃の法則」を満たすのに日数が多くかかるからでしょう。

高いところでは気温が低い: 100mで0.65℃

地球上では高度(地表からの距離)によって大体の気温が決まっています。特に地表から高さ11kmまでぐらいは「対流圏」といって、上空に行くほど気温が下がっています。逆にそれより高いところでは、上空ほど気温が上がる「成層圏」なんていうのもありますが、あまり脱線しないようにしましょう。

地球上の山は11kmより十分低いので、対流圏の中だけ考えればいいですね。対流圏の中では標高が100m上がるごとに気温は約0.65℃下がります。これを「環境の気温減率」などと呼びます。次の図の赤マルのあたりです。

地球の気温減率

出典: 身につく気象の原理(横川淳・著)

出典に用いた「身につく気象の原理」は、私が書いた本なのですが(笑)大気の熱力学をかなり分かりやすく書いたつもりなのでぜひ読んでください!「一般気象学」の前座に最適!ハイ宣伝でした。

800mの山なら2ヶ月で300℃不足する計算

気温減率「100mで0.65℃」をもとに考えると、たとえば標高800mの山頂では、平地に比べて毎日5.2℃(=0.65℃×8)も気温が低いことになります。2ヶ月(約60日)で換算すると、60日×5.2℃=312℃ですから、600℃の法則に必要な積算温度が300℃以上不足してしまうのです。これが、山の桜がだいぶ遅れて咲く理由です。

野呂山(標高839m)と平地の開花・満開の遅れを計算!

いよいよ野呂山の登場です!平地と比べてどのくらい開花や満開が遅れるのでしょうか?

いつ「600℃」に達するのか

野呂山の標高は839mなので、だいたい平地よりおよそ5℃気温が低いことになりますね(細かく計算すると0.65℃×8.39=5.4535℃となりますが、こんなに精度がいい話ではないのでザックリいきましょう)。

また、呉市の海沿い地域での桜の開花は、2025年は確か3月下旬だったと思います。スマホの写真を見ると、3/29の時点で海の近くの桜がすごく満開になっているのが記録に残っています。ただし、この日はまだ咲いてない木もあるなとも思いました。

2025/3/29 呉市の海沿いで桜満開
2025/3/29 呉の海岸近くでの桜

この写真の1週間前である3/22が開花日だったとしましょう。そうすると2/1からの日数は28+22=50日です。なんとキリのいい数字。

野呂山の山頂では毎日5℃低いので、積算温度は5℃×50日=250℃だけ低くなっています。この250℃分を追いつくのに、野呂山の山頂では何日かかるのかを推測する必要がありますね。

そのために、昨年の2月・3月・4月の呉市(海沿い地域)の最高気温を調べます。これは気象庁からダウンロードできます。「過去の気象データ検索」から、呉市の2024年分のデータをもらってきました。次のように、毎日の最高気温が表形式で得られます。

気象庁より2024年2月の呉市海沿いの気象データ

この最高気温を日々足し合わせた積算温度(地表積算温度)と、「最高気温-5℃」を日々足し合わせた積算温度(山頂積算温度)をグラフにしてみました。次のようになりました。

2024年2月~4月の呉市地表と野呂山頂(推定)の積算温度グラフ

地表での積算温度が600℃を越えたのは2024/3/19でした(図の青マル)。一方、山頂での積算温度が600℃を越えたのは2024/4/9でした(図の赤マル)。ちょうど20日の遅れが発生していたようですね。

2025年の野呂山頂での桜の開花日・満開日を予測!

さて、いよいよ2025年(今年)の桜の開花日・満開日の予測です!

まず前もって今年の4/9に野呂山の頂上を視察しております。ご覧の通り、花びら一つ見当たらない、まさに「ゼロ分咲き」の様相を呈していました。見る人が見れば分かる野呂山からの眺め!(左の写真と右の写真は別の方向を向いています、念のため)

2025/4/9 野呂山頂の桜(0分咲き)
2025/4/9 野呂山頂における0分咲きの桜

一方で、上でも述べたとおり、3/29の時点で呉市の海沿いでは多くの桜が満開になっていました(一部まだあまり咲いていない木もありました)。

そして、積算温度が600℃に達する日付は、海沿いと山頂で約20日遅れるという2024年のデータを先ほど示しましたね。

以上を組み合わせると(開花日の遅れがそのまま満開日の遅れにつながると仮定して)、2025年の野呂山頂での満開日は・・・

3/29頃 + 20日 = 4/18頃

ではないかと推測します!まあザックリ4/20ぐらいですね。ちょうど20日は日曜日なので、満開になるといいですね。

この予想、当たるでしょうか?あと1週間ぐらいしかないので急いでこの記事をアップしなければ「後出しじゃんけん」になってしまいます!(笑)

野呂山の山開きイベント2025

ところで4/20(日)といえば、そう、野呂山の山開きイベント2025が開かれます!このイベント、なぜかほとんど広報されてないんですよ。もったいない!だから私が広報してしまいます!

イベント概要

いつから恒例なのかわかりませんが、春になると野呂山の山開きイベントが行われます。会場は山頂の野呂高原ロッジ横のグラウンド。自然を感じるアクティビティやアート、音楽に満ちた一日になるでしょう!

こんなチラシが野呂山ビジターセンターに置かれていたのですが、インターネットだとどこで見れるの?ウラ面もあるんですがとりあえずオモテ面をご覧ください。

野呂山山開き2025のチラシ

注目イベント1: 広高校書道部の筆パフォーマンス

勝手に注目しているイベントその1!広島県立広高校の書道部による筆パフォーマンス!

11:00から筆供養祭が行われたあと、筆資料館でパフォーマンスがなされるそうです。野呂山のふもと川尻町は、熊野町と並んで筆の名産地ですからね。また、広高校の何年生かの遠足は野呂山だと聞いたことがあります。そんな繋がりで実現した出演なのでしょう。

日頃の練習は大変なんじゃないかと思いますが、こういった場で多くの人に見てもらえるといいですね!この記事を読んだ人は11時に間に合うように山頂へ!

注目イベント2: 陶器絵付け体験

パンフから詳細は分からないのですが、野呂山のふもとには「岩屋工房」という窯元(というのでしょうか?陶芸家の拠点?)があるそうです。

岩屋工房のブログがあって、2024年の記事によると、野呂山ビジターセンターで陶芸教室も開いておられたとか。もしかするとそういった繋がりもあって、陶器絵付け体験ができるのかもしれません。

個人的な好みになってしまいますが、砥部焼とか萩焼とかの絵付け体験ってすごく楽しかったんですよね。やったことない人はもったいない!この機会に野呂山で絵付けをすぐ体験してください!

注目イベント3: 野呂山スタンプラリー

新緑の野呂山絶景ポイントを巡るスタンプラリーが開催されるようです。まだまだ涼しい野呂山頂上の風を浴びながら、満開(予想)の桜を愛でつつ山歩き。なんと贅沢な時間でしょうか

もう4/20ともなれば海沿いの地域では桜は散ってしまっています。でも野呂山なら満開(予想)ですよ!お楽しみ抽選もある、このスタンプラリーをお見逃しなく!

メインイベント: 広島デュオMebiusと万貴音の歌

チラシでひときわ目を引くのは「広島デュオ歌ステージ」と題した、Mebiusと万貴音の歌唱ステージです。プロフィールなどはチラシの文字を刮目して読み取ってくださいね。

ちなみにチラシのこの位置にあるのはメインイベントです。2023年は覇気溢れるカープの安部元選手2022年は赤松選手と並んでスパイダーマンキャッチで世界に名を轟かせたカープの天谷元選手が占めていたポジションです。MCは毎年、バーバラこと桑原しおりさん。まさにMebiusと万貴音にふさわしい位置ですね。

11:30スタートで、たぶん1時間ぐらいやってくださるんじゃないでしょうか。広島が誇るこんな二大ユニットの歌を間近に浴びながら、さらに満開(予想)の桜も楽しめる。こんな贅沢な時間があなたのものに。

曲を予習しておくとより楽しいかもしれません!

Mebius official channel→聴きに行く

万貴音ミュージックチャンネル→聴きに行く

たぶん2025年は4/20頃に満開と予想!山開きイベントとともに楽しんで!

桜の開花は、地球の気候と生命が織りなす、美しいタイミングの芸術と言えるでしょう。1年のうちほんの刹那だけ咲き誇り、散っていく桜。そんな力強くも儚い桜、恐らく呉近郊で見る2025年最後のチャンスは、野呂山頂の4月20日です(大胆な予想)

ちょうどその日に開催される野呂山山開きイベント2025とともに、ぜひ今年の桜、見納めを楽しんでください!

野呂山までのアクセスはgoogle mapとかで確認してくださいね!

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