「小さな量のあらわしかたのお話」で、髪の毛は1ヶ月に約1cm(センチメートル)ずつ伸びることから、1秒あたりに直すと4nm(ナノメートル)ずつ伸びているのだということを示しました。こんな計算をしましたね。
1nmは1mの1,000,000,000分の1ですから、ものすごく短い長さのような気がしますね。でも、原子の大きさと比べてみるとどうでしょう・・・?
原子の大きさと髪の毛
理科の時間に習うように、身のまわりのものは全て「原子」という粒でできています。髪の毛も原子でできています。原子は直径がおよそ0.1nmです。ですから、図のように4nmの中に原子がすき間なく並んでいるとすれば、4nm÷0.1nm=40個の原子が並んでいることになります。
さらに、髪の毛の太さは(個人差がありますが)平均的には直径0.08mmぐらいだそうです(ここをはじめとしてあちこちに0.07~0.1mmとありましたので、適当に途中の値を取りました)。
0.08mm=80μm=80,000nmですから、4nmと比べると、1秒間に伸びる髪の毛は次の図のようにペラペラだと分かります。
原子の個数を数えてみる
では、このペラペラの髪の毛の中には、原子は何個入っているのでしょう。丸いままだと計算が面倒なので、髪の毛の断面を円ではなく1辺が80,000nmの正方形に置きかえましょう。また原子も、1辺が0.1nmの立方体だということにしましょう。
このペラペラの「四角い髪の毛」の中に、「四角い原子」がいくつ入るかは、次のようにして計算できます。
原子の個数=(四角い髪の毛の体積)÷(四角い原子の体積)
=(80,000×80,000×4)÷(0.1×0.1×0.1)
=25,600,000,000÷0.001
=25,600,000,000,000個
いち、じゅう、ひゃく、せん・・・と数えてみますと、これは「25兆6000億個」となります。もちろん、丸いものを四角くしたら誤差も出ますし、原子がすき間なく詰まっているとも限りませんから、実際にはちょっと違うのでしょうが、「かなり多いなあ」ということは間違いないでしょう。1秒間に伸びる髪の毛の中に、25兆個もの原子が詰まっているなんて、驚きです。
原子
ところで「原子って、まるいツブなんだよね」と思われている方、一度wikipediaの説明を見てみてください。確かに粒なんでしょうけど、なんともとらえどころのない姿をしているみたいなのです。
出典
この記事はちゅーピー子ども新聞 39号(2011年6月19日発行)7面に掲載した記事を加筆修正したものです。
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