柔毛でグンと広がる表面積のお話

柔毛でグンと広がる表面積のお話

小腸のつくりって、すごいですよね。久しぶりに調べてみますと、小腸は太さ約3cm、長さ約6mの管になっているんだとか。その内側の表面から栄養分を吸収するんですよね。そのためには表面積が広い方が有利なので、小腸のかべにはひだがついていて、さらにひだは「柔毛*1」という突起でびっしりとおおわれています。図には載せていませんが、さらに柔毛には「微柔毛*2」という小さな突起がついています。これらのひだや突起によって、小腸のかべの表面積は非常に大きくなっている・・・と習いますが・・・。

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計算してみましょう

では実際に、柔毛があるとどのくらい面積は広くなるのか、かんたんな計算で見積もってみましょう。

小腸のかべが広くて平らな面だとしましょう。ここに柔毛が密集している様子をイメージしてみます。1つの柔毛を、底面が正方形で少し背が高い直方体だとします。この直方体(柔毛)が、次の図のように交互にびっしり並んでいる状況を想像しましょう。このようになると、直方体の側面積の分だけ、全体の面積が増えることがわかります。

では面積が何倍に増えているのか計算してみましょう。前の図で「ここの図形が繰り返されている」と示した部分だけを取り出して考えてみます。計算しやすくするために、取り出した部分の1辺の長さを2cmとします。すると直方体の底面の1辺の長さは1cmとなります。また、直方体の高さは5cmとしてみましょう(小腸の図を見ると、なんとなく底面の5倍ぐらいの長さに見えますので)。このように数値を決めると、直方体を立てる前の面積は2cm×2cm=4cm2。直方体を立てた後の面積は、1cm×1cmの正方形(図のピンクの部分)が4個で4cm2、さらに1cm×5cmの長方形(図の青い部分)が8個で40cm2、合計44cm2となります。すなわち、直方体を立てることによって、面積が4cm2から44cm2へ11倍も増えることになります。

微柔毛もあるので

この直方体が柔毛だとしますと、この他にひだや微柔毛のおかげでさらに面積が数倍か数十倍ずつ大きくなるはずです。wikipediaの「小腸」の項目(2013/5/6閲覧)には「ひだのおかげで3倍、柔毛のおかげで10倍、微柔毛のおかげで20倍に面積が増える。つまり3×10×20=600倍に面積が増える」という趣旨の説明がありました。簡単な計算でしたが、意外といい線行っているみたいですね。

ただ、できれば「実際の測定値」と比べてみたいような気はしますね。まあ表面積については、柔毛の大きさと本数が間違えていなければ計算でいいのかな・・・。でも例えば、表面積が600倍になると栄養の吸収スピードも600倍になるのか・・・など、考えてみるといろいろ疑問がわきますね。

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もっと調べてみた第2話はこちらです。

大きな柔毛と小さな柔毛のお話

出典

この記事はちゅーピー子ども新聞 81号(2013年3月17日発行)7面に掲載した記事を加筆修正したものです。

参考

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*1:どうも「絨毛」と書く方が専門的には正しいみたいです。

*2:こちらも「微絨毛」の方が正しいっぽいです。

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