素数ものさしは577円

素数ものさしは577円

2013年が暮れていきますね。本年もアクセスしてくださった皆様、ありがとうございました。

さて、これは2013年中にどうしても書かねば!と思っていた記事です。10月にある方のご厚意でいただいた「素数ものさし」のご紹介です。

Advertisement

目盛りが素数だけ!

写真の上側をご覧になると分かりますが、目盛りが2, 3, 5, 7, 11, 13, 17(cm)しかついていません!これはもちろん「素数」ですね。「1と自分自身以外に約数がない数」です。下側はmmの目盛りのようですが、これもよく見ると飛び飛びに・・・。どうやらこちらも素数のようですね。画像に数字を入れてみました。

ところどころにある素数が連続しているところ(11と13、29と31など)は、横並びに書くと詰まりすぎてしまいますので、2行に分けて書いています。

 

どうやって使うのか?

これは使いにくそうです。ものさしの右の方にも書いてありますが「不便益システム研究所」というところが製作したようですので、わざと不便にしてあるのでしょうね。ちなみに「不便益(ふべんえき)」とは、単に「不便」ということではなく、「不便ということから得られる益」という概念のようです。詳しくは同研究所のページをご覧ください。

 

さて。この「素数ものさし」は「素数の長さ」しか測れないのかと一瞬思ってしまいますが、そうでもありません。例えば4cmの長さの線を引きたい場合には「3と7」の間を使えばいいんですね。こう考えると、以下のように一応17cmまでの整数cmは全部測ることができます。

  • 1cm→2と3の間
  • 4cm→3と7の間
  • 6cm→7と13の間
  • 8cm→5と13の間
  • 9cm→2と11の間
  • 10cm→3と13の間
  • 12cm→5と17の間
  • 14cm→3と17の間
  • 15cm→2と17の間
  • 16cm→(3と19の間・・・と思ったら19がない!17cmをまず測って、2と3の間で取った1cmぶんだけ短くするのかな?)

まあちょっと16cmだけインチキのような気もしますが・・・。

 

17cmより大きな長さは?

17cmより大きな長さを測りたい場合は、「2つの目盛りの間」を使うのではなくて、継ぎ足して使わないといけませんよね。例えば20cmを測りたいのなら「3と17を継ぎ足す」という意味です。

これでいくらでも大きな長さを測れるのでしょうか?と考えてみると、偶数は「2を必要なだけ並べる」で測れますし、奇数は「2を必要なだけ並べて、最後に3を1回並べる」で測れることが分かりますね。例えばこんな感じです。

  • 1000cmを測りたい→2cmを500回継ぎ足す(2×500=1000)
  • 1001cmを測りたい→2cmを499回継ぎ足して、最後に3cmを足す(2×499+3=1001)

 

ところで、説明書にはチラッと「弱いゴールドバッハ予想」ということが書かれていました。wikipediaの項目で調べてみたところでは

5より大きい奇数は3個の素数の和で表せる。

という内容の「予想」だそうです*1。十分大きな素数ものさしがあれば、例えば「1001cm = 5cm + 13cm + 983cm」のようにして3回の測定で済むという意味ですね。偶数は別だと思いますが・・・。このあたりは「弱い」のついていない「ゴールドバッハ予想」というものを調べていくと面白そうです。

 

京都大学生協で、577円!

こんなおもしろい「素数ものさし」ですが、どうも京都大学生協でしか売っていないらしく、しかも結構品薄みたいなんですよね。店頭に並ぶとすぐ売り切れたりとか・・・通販もしていないようです。そのあたりの雰囲気はこちらのブログに書かれています。私も実は京都に住んでいらっしゃる方から送っていただいた次第です(タイトル画像のものさし部分もご提供くださいました)。

価格は577円!これももちろん素数です。お支払いしようとしていろいろ準備を整えていたのですが、「進呈します」とのことでしたので、お言葉に甘えることにしました。実はこの「準備」の内容をもう少し書きたいのですが、長くなってしまったのでここまでを「前編」として一度upします。

Advertisement

数学チックな話カテゴリの最新記事

Verified by ExactMetrics