このたび、自身5冊目となる書籍「身につく電気数学」を技術評論社より出版することとなりました。
あれ?こないだ4冊目を出してなかった?と思われそうですが、はいその通りです。3月に「家電は物理学である」を出版いたしましたが、その翌月の4月に「身につく電気数学」を出すことができました!
電験三種とかを目指していて、数学を難しく感じる方や、電気回路と数学の絡みがよく分からない・・・という人にぜひ読んでみてほしい本です。

電気と数学を並行して効率的に学べる本!
本書の企画を技術評論社さんからいただいてから、タイトルに「電気数学」と入った本をいくつか読むなどして、そもそも「電気数学」とはどういう分野なのかを調べた時期がありました。
というのも、私は日常的に電気回路の設計などに携わっているわけではありません。その上「電気の勉強に使う数学」なんてものはとっくの昔に確立されているだろうから、今さら新しく本を書く意味とは?と思ったわけです。
そこで分かったのは、次のようなことでした。
- 一般的に「電気数学」と呼ばれている内容は、「中学生レベル+高1・高2の数学の一部」プラス「理工系の大学1年生が学びそうな数学をほんの少し」という感じ。
- 書籍によっては「分数の足し算・かけ算」「1次方程式の解き方」などまで遡って解説している場合もある。
- 「電気数学」を学ぶ本では「電気」のことにあまり触れられていないような気がする。
一方で私の強みは
- 日常的に中高生に理科(物理など)を教えているので、初学者が一般的にどのように教わるかを体感的に知っている。
- 初学者が電気回路のどのへんで詰まるかもだいたい分かっている。詰まらない人がいることも知っている。
- 複素数を使う場合と使わない場合の対応関係をよく理解している。
などといったあたりです。これら私の強みを活かしながら、世の中に新しい「電気数学」を生み出すとすると、「電気そのものの勉強と、それに必要な数学の勉強を並行して進める」ような本がいいのでは・・・と思いました。
こんな風にして書籍の概略が定まり、執筆に入ったのでした。
「はじめに」から抜粋した以下の部分をご覧ください。「電気」と「数学」の必要なところだけを行き来しながら習得できるようにした、と宣言しているつもりです。

本書の目次はこんな感じ
本書はなんと「算数」からチェックしていきます。さすがにそこはいいぜ!という人はどんどん飛ばして読んでいただけるようになっていますのでご安心ください。
目次はこんな感じです。
第1章 算数・数学
指数表示・有効数字・計算と単位・間違いやすい計算規則・1次方程式ときて、最後は「式の雰囲気をつかむ」です。この章で基本的な計算技能をマスターできます。「算数からチェック」と言いながらも、最初のページは指数表示で、これはわりと高校内容ですね。電気数学を学ぶために必要な順に書いたつもりです。
この最後の「式の雰囲気」というのは気になりますね(笑)。気になりませんか?
第2章 電気の基礎
電荷・電界(クーロンの法則)・電位・「坂道」というイメージ
電気回路に出てくる電流・電圧・抵抗・起電力・消費電力・電力量・静電容量・コンデンサに関する基本公式
この「坂道」のイメージを最初から導入しておくことで、消費電力やコンデンサの公式に関する理解が深まると思います。
第3章 直流回路
コンデンサや抵抗を含む直流回路の例題を多数掲載しつつ、電気回路の最重要法則2つを「これでもか」としつこく練習できます。この過程で、第1章に登場した様々な計算技能を何度も何度も確認できるので、イヤでもそのうち身についてしまうのではないでしょうか。
第4章 さらに数学
関数とグラフ・三平方の定理・三角比・弧度法・三角関数・ベクトル
この先、交流回路を学ぶために必須となる、やや高度な数学をまとめています。高度といっても高1・高2ぐらいまでの内容なのですが、高2までの全てが必要になるわけではありません。
ここが結構大切なところで、もちろん高2までの全ての数学に習熟する時間があるのならそれでもいいですが、ひとまず電気回路を習得したいという目的なのであれば「高2までの数学の一部」だけでいいんです。その「一部」を的確に抜き出したつもりなので、急いでいる人にこそおすすめです。
第5章 交流回路の基礎
実効値・リアクタンス・直列と並列・インピーダンス・平均消費電力と力率
交流回路(電流や電圧が時間的に変動する電気回路)の計算を、まずは三角関数を利用して実数の範囲内で考えてみます。この章での経験は「大変!」という感想になるかもしれません。ただ、次の章で複素数が入ってきたときに「なんて楽なんだ!」と思う前段階として、大変な経験もしておくといいと思うんですよね。
第6章 交流回路を複素数で計算
複素数平面上での計算・オイラーの公式
電気数学のハイライト、「複素数で交流回路の計算をする」です。第5章と同じ電気回路を題材にしているので、複素数を使うとずいぶん簡単に計算できるんだな!と感じてもらえるはずです。
実数での計算を経ずに複素数の計算ルールを覚えても、計算自体はできるようになると思いますが、「いま何をやっているのか」が分からないままになりそうだなと思うんですよね。ともすると「意味はわからないがマルをもらえる方法」として計算技能を習得してしまいそうで、それはそれで不健全だと思います・・・。
そこで本書では、しんどい実数の計算を経験していただいた後に「同じことが複素数を使うとこんなに楽になりますよ」という流れで複素数が出てくるようになっています。これならきっと「何をやっているのか」が分かり、かつ素早く計算もできる、骨太な電気数学の知識が身につくのではないかなぁと思います。
第7章 もっと進んだ計算
共振・三相交流回路
次の本への橋渡しとなる最終章です。電気数学はまだまだ始まったばかり。本書で手に入れた「骨太な電気数学」を利用して、次のステップに羽ばたいてほしいです。

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ご推薦の声・・・に変えて
本書は内容的には一般向けというよりは「電気回路の勉強に迫られた人」向けなので、なかなか発売前にご推薦の声を集めるのが難しかったです。
ですので、そもそも私が日常の仕事(学習塾講師です)でいただいているお言葉をいくらかご紹介したいと思います。
「何を聞いても返ってくる」
これは物理の時間に根掘り葉掘り質問をしたい生徒からいただいた言葉です。
電気回路を含む「物理」という学問体系は、わりと理論の構成がしっかりしていて、「ここは覚える」「ここから先は導出される」という風にクリアな見通しが立つようになっています。
ただ、全ての書物に全ての情報が書かれているわけではないので、普通に勉強していると「答えは出せるけど、なんでこんなことをするんだろう」とか「この法則はなんで成り立っているのか」などの疑問がたまりがちなんですよね。
私自身、問題演習をしている中で「このことは直感的には明らかだけど、一体どの物理法則から導かれるのだろう」と疑問に感じたことがいくつもあり、自分なりにメモを残したりしているのですが・・・。
そういう、誰でも疑問に思うけどスルーしがちなことを質問としてぶつけてくれた生徒に全て答えていたら、「何を聞いても返ってくる」という言葉をいただいたというわけです。
本書を執筆するにあたっても、私のこういう性質は十分に活かされていると思うんですよね。
「面白くてしかも伸びる」
実は私、専門外の「生物基礎」という授業も担当しているのですが、なぜか生物基礎の授業が「面白い」「伸びる」と言われることが多いです。
あ、ここで「専門外」とは、大学院までで取り組んだ分野が「物理学」なので、そこからすると外れているという意味です。
誰でも専門分野について熱く面白く語ることはできると思いますが、専門から外れていても面白さを見出し、それを初学者に向けて伝わるように話せるというのは、手前味噌ですが私の強みじゃないかしら、と思っています。しかも「伸びる」ように話をできるとは、一体どうやってるんでしょうか。
電気数学も、私の本当の専門(宇宙物理)からはズレている可能性がありますが、だからこそその中にある面白さを発掘し、お届けできているのではないかな?と思っています。
「耳にタコができる」
これはですね、大事なことを私が何度も何度も言うことを指して生徒が残した言葉です。
「大事なことなので二度言います」なんていう言葉がありますけど、2回言ったぐらいで大事なことは伝わりません。私が勤務している塾では、大事なことは卒業までに100回ぐらい言います。さすがに本で同じことを100回も書けませんが、しかし大事なことはなるべく省略しないことを心がけました。
例えばこちらは「電気回路の最重要知識」を勉強した後の練習問題の解説です。8問目なのですが、相変わらず同じことを述べている様子が伝わりますかね・・・?

同じことを何度も述べるのはなぜかというと、問題の見かけが変わったときに「見かけが違うから使う知識も違うんだろう」と思ってしまうのを防ぐため、というのが大きいです。
電気回路の場合は例えば「直列つなぎ」とか「並列つなぎ」などといった知識があり、そういった知識はもちろん必要なのですが、それ以前に大事なのが「そもそもこの問題は電気回路である」という部分なんです。電気回路でありさえすれば必ず成り立つ法則をまずは思い浮かべて、不足する部分は他の細かい知識を使っていく、という呼吸をマスターしてもらうため、私は「耳にタコができる」まで同じことを言うのです。
特に私がふだん高校生を教えていて思うのは、電気回路の分野では些末な公式やテクニックが重視されがちで、本筋である2つの法則があまり大切にされていないなぁということなので、ちょっとしつこく書かせてもらった次第です。
どうでしょう、なんだか「面白くて、できるようになりそう」と思いませんでしたか?そんなあなたに「身につく電気数学」、とてもおすすめです!
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紙の本とKindleが選べます!
電気数学を勉強するんだったら、紙と電子版とどっちがいいですかね・・・?これは好みが分かれそうですね。
紙だと、見たいところや戻りたいところをササッと探せるメリットがありますね。
電子版だと検索できるのが圧倒的に便利ですね。
どちらにしても手を動かして計算練習をするのも含めて本書を使っていただきたいので、ご自分の勉強スタイルと相談の上、紙か電子版かをお決めくださいね!
著者の私はどっさり送られてくる紙版の本に埋もれてウハウハするのが好きなのですが、皆様には大事な1冊となりますから、悔いのない選択をお願いします。

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