昨年、出版社の方から不可解な提案をいただいたんです。
「『ぼくらは物理のおかげで生きている』の韓国語版のオファーがあるんですが、どうしますか?」
韓国語???
「ぼくぶつ」が韓国で出版されるのですか?
もちろんイエス
返事は「イエス」か「はい」を選ぶのが私のモットー(冗談)ですのでもちろん「ぜひお願いします」とお返事をしました。そして待つこと数ヶ月・・・
見本が届きました!
見てください、この紫の方が韓国語版です。赤いのは日本語版。とても同じ本には見えませんが、挿絵の感じが物理っぽいですから、同じ本に違いありません。
私は韓国語が読めないけど
届いたはいいのですが、私はハングルが読めません。しかし塾生の中にハングルが読める子がいまして、それによるとどうやらタイトルは「私が愛する物理学の話」みたいな感じなんだそうです。webのgoogle翻訳に入力した結果と表紙のタイトル部分を並べてみるとこうなります。結構、表紙の文字はデフォルメされているみたいですね。こんな文字が読めるとはすごい。
google翻訳で出てきたハングルの6文字目(2つのLを上下に並べて間に一が入ったような文字)は、表紙には出てきていませんね。また、5文字目もなんかちょっと違うような・・・。まあ大筋としては合ってるんでしょうね。
今は便利な世の中でして、iphoneアプリの「google翻訳」というのを使うと、カメラで読み込んだ画像の中から文字列を指でなぞって、そこを日本語に直してもらえます。
試しに紫の帯にある大きな文字を翻訳してみると「物理学者が見る日常の科学原理」という意味だそうです。
その下にある小さな文字は、アインシュタインの言葉で「続き疑問を抱け神聖な好奇心を失ってはならない。アルベルト・アインシュタイン」だそうです。ちょっと直訳っぽくて変ですね。「疑問を抱き続けよ」というような意味でしょうね。
中身も翻訳してみます。例えば「作用・反作用の法則」のページで一文を翻訳してみますと・・・
これは明らかに物理法則として成立し、壁と手の場合に撮影が壁を押す力と『壁が手を押す力は大きさは同じで方向は逆になります同様にバットとボールは『バットがボールを押し出す力とコンがバットをスライド出す力が同じ大きさに逆方向に作用します
ううむ、雰囲気は分かりますがちょっと正確さに欠ける翻訳ですね(笑)。恐らくアプリの限界なのだろうと思います。韓国の皆さんには正しく読んでいただけるものと期待しております。
ちなみに裏表紙には何やら推薦文らしいものが書かれてありました。アプリで翻訳すると・・・
物理学は、硬くて難しいと思うのは簡単です。しかし、私たち人類が長年蓄積した科学的思考力の結晶体である物理学を離れてすることだけではありません。旅立つ飛行機の中でも、電気炊飯器でご飯になっていく瞬間にも物理学は、私たちと一緒にしているからですが本テーマで物理学を再構成して生活の中の様々な事例を通し、普段ふと気にしていた現象の答えを提供しています。物理学を専攻した先生や、物理学を勉強したい学生に親切な物理指針になると考えています – 第ヒョンゴ科学教師パク・インギュ
ものものしい文章ですね。ありがとうございます。恐らく次のような意味ではないかと推察します(第ヒョンゴ科学教師ってどういう意味なんでしょう・・・)。
「物理学は難しいものだと思われがちです。しかし私たち人類が長年蓄積した科学的思考力の結晶体(すごい訳ですね)である物理学を離れることはできません。飛んでいる飛行機の中でも、電気炊飯器でゴハンを炊く瞬間にも、物理学は私たちとともにあります。この本は、テーマごとに物理学を再構成して、生活の中の様々な事例を通し、普段ふと気にしていた現象の答えを教えてくれます。物理学を専攻した教師や、物理学を勉強したい学生に親切な指針になると思います」
はい、私もこの本の執筆を通して、改めて「物理ってあちこちに顔を出すものだなあ」と思いました。
物理を楽しみ、理解しよう
物理の勉強は「公式を暗記して数値を代入する」みたいな作業だ・・・と思われがちですが、本来物理というのはそういうものではないと思うんですよね。
こういう文脈では大学入試が悪者になることが多いような気もしますが、別に大学入試があるからといって「代入作業」をする必要はないわけです。「物理を楽しみつつ、理解を深め、大学入試でも成功を収める」ということは可能です。
私の経験上は「楽しみ、理解する」という道をたどる方が入試でも上手くいきます。恐らくその後もうまくいくのではないでしょうか。何しろ楽しい上に理解までしているのですから。
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