一円玉はなぜ逃げるのお話

一円玉はなぜ逃げるのお話

「一円玉と磁石のお話」で「立てた一円玉に磁石を近づけると、一円玉は磁石から反発する向きに倒れる」という実験をご紹介しました。今回はその種明かしといきましょう。

Advertisement

必要な知識

このできごとを理解するには、次の2つの知識が必要です。

  1. 磁力のもとは電流だ。
  2. 磁石を動かすと電流が流れる。この電流は「磁石の動きをじゃまするような向き」に流れる。

では詳しく説明していきます。まず1について。「電磁石」というものを見たことがある、または理科の時間に作ったことはありませんか。導線に電流を流すと磁力が発生して、釘やクリップを引きつけるのでしたね。このとき、電流の向きと発生する磁力の向き(どちらがN極になるか)の関係は次の図のようになっています。電流が円形に流れると、ちょうど棒磁石と同じような磁力線が生じるのです。

次に2について。例えば、円形の導線に上から棒磁石のN極を近づけていくとどうなるかといいますと、なんと導線に電流が流れるんですよ。この現象を「電磁誘導」と呼びます。このとき流れる電流の向きは、「N極が近づいてくるのをじゃまする向き」です。つまり、「上側にN極ができるような向きに電流が流れる」ということになります。

知識を組み合わせると

これらのことを組み合わせて、立てた一円玉に磁石を近づける実験のことを考えてみましょう。立てた一円玉に磁石を近づけると、2の効き目によって「磁石が近づくのをじゃまする向き」に一円玉に電流が流れます。ですが磁石は手の力でどんどん近づいてきますから、何の支えもない一円玉の方が反発力で倒れてしまうというわけです。

なかなか複雑ですね。まあこういうのは試してみるのが一番です。では次のようなことをするとどうなると思いますか?試してみてくださいね。

クイズ「一円玉を立てて、磁石を一円玉のそばから遠ざける方向に動かすと、一円玉はどうなるでしょう?」

 

考えてみましたか?やってみると、こうなりましたよ。

なぜって?これも同じ原理です。つまり、磁石が遠ざかっていくことにより、一円玉には「磁石が遠ざかるのをじゃまする向き」の電流が流れます。つまり、磁石と引きつけ合うような電流です。だから、遠ざかる磁石に一円玉が引き寄せられ、倒れてしまうというわけです。

Advertisement

出典

この記事はちゅーピー子ども新聞97号(2013年11月17日発行)7面に掲載した記事を加筆修正したものです。

ほかのブログへ

にほんブログ村 科学ブログ サイエンスコミュニケーションへにほんブログ村 教育ブログ 理科教育へ自然科学 人気ブログランキングへ

↑クリックするといろんな科学ブログを探せます。ついでに「カガクのじかん」のランキングも上昇します(ありがとうございます)。

日常のカガクカテゴリの最新記事

Verified by ExactMetrics