「家電は物理学である」を書き終えて思った人類のスゴサ

「家電は物理学である」を書き終えて思った人類のスゴサ

1つ前の記事で発表しましたとおり、「家電は物理学である」が無事に発売されました!

まだお求めでない方にもぜひお読みいただきたいのですが、この記事では執筆後の私の思いについて少し書き留めておきたいと思います。

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家電の中にある物理学とは?

皆さんは「物理学」と聞くとどんなことを思い浮かべますか?

ノーベル賞とかでしょうか?それとも「学校でなんか公式を覚えてたら単位をもらえた」みたいな思い出?色んなイメージのある言葉だと思います。

本書を書くにあたっては、

  • 中学の理科でいうと「音」「光」「力」「電気」「エネルギー」あたりの単元
  • 高校だとズバリ「物理」という教科書に載っている「力学」「波動」「熱力学」「電気」「磁気」「原子」あたりの単元
  • 大学で学びそうな「電磁気学」「流体力学」「量子力学」「特殊相対性理論」「一般相対性理論」など

を、「家電の中に存在している物理学」としてクローズアップし、平易に面白く書いたつもりです。

藤子・F・不二雄の短編に「征地球論」というのがあります。そこに登場する宇宙人がごろんと横になってテレビを見ている地球人を観察して曰く「何時間もガラスビンのけつを眺めるのか」「眺めてどうするのだ」と疑問を呈するシーンがありますが、時代を感じますね。「家電は物理学である」にはもっと詳しく出てきますよ!

藤子・F・不二雄「征地球論」より

私が本書を書きながら「すごいなぁ」と思った点は多々ありますが、やっぱり一つだけ挙げるなら「GPSには相対性理論が不可欠」という部分でしょうか。相対性理論なんてSFとか宇宙の研究にしか出てこないのかと思ったら、今や誰もがポケットの中に持っているスマホ(の位置決め)に使われているなんて・・・!という驚きがありました。時間の進みが地上と衛星でわずかにズレるのを相対性理論で補正しないと、カーナビの地図が1日で10km以上もズレてしまうんですよ!

物理学という「人間の営み」

ところで、著者である私が「物理学とは」という問いに答えるとすると、こんな感じになります。

「物理学とは、自然現象を観察し、その奥に横たわる法則を見出す営みである」

よく聞く逸話に「ニュートンは、リンゴが木から落ちるのを見て重力の法則に気づいた」なんていうのがありますよね。この逸話が実話かどうかはさておき、「リンゴが木から落ちる」という現象は誰でも見たことがあるのに、そこから「重力の法則」にまで行き着くというのはなかなか難しいことでしょう。

この、「リンゴが地面に落ちる」という特有の現象から「質量を持ったすべての物体が引き合う」という普遍的な法則を見出すという人間の営みが、私の思う物理学です。

まあ実際には自然科学全般がそうなんだと思います。分野を分類する都合上、物理学・化学・生物学・地学のように分かれていますが、根っこは一つなんじゃないかな、と思っています。

とはいえ、自分だけの思い込みだったらよくないので、母校・理学研究科のサイトを見てみました。さすがに格調高いことが書かれていますね。ですが格調の違いを除けば、私が思っていることと本質的には同じだと思います(母校なので当然かもしれません)。

理学は、私たちを取り巻く自然界の様々な現象に目を向け、その背後にある真理を探究する学問です。自然や事物の本質について深く思考し、その普遍的な法則や仕組みを合理的に解き明かすことを目指しています。歴史を振り返れば、世界のあり方を大きく変えた科学上の発見の多くは、自然界の真理に対する純粋な知的好奇心から生まれてきました。
https://sci.kyoto-u.ac.jp/ja/about/dean より

こうして考えてみると、私が「家電は物理学である」で書いたのは、「物理学」というよりも「物理学の法則」なのかもしれませんね。

そこにただ存在している法則を家電に組み込んだ人のスゴサ

物理学の法則って、例えばこんな感じです。

  • 電子など、電気を持った粒は、自分の周囲に電界を作る(クーロンの法則)
  • 電子がウロウロ動くと、自分の周囲に磁界を作る(アンペールの法則)
  • 変動する電界や磁界は、互いに影響を及ぼし合って、波(電磁波)として空間を伝わる(マクスウェル方程式)
  • 温度に応じて電子の動くスピードが異なるため、温度に応じて出る電磁波も異なる(プランクの法則)

ある種、無味乾燥とも言えるこんな物理法則が、例えば「あかり」の中に存在しています。

人類がおそらく最初に用いたであろう「あかり」は、木や油が燃えるときに発する光だったことでしょう。炎の中では「すす」の粒がうごめいているので、その動き(温度)に応じた電磁波が出ます。この電磁波はたまたま(じゃないかもしれませんが)目の細胞でキャッチでき、脳に届くと「オレンジ色」と認識されるという具合です。

この物理法則を、電気の力を通じて手のひらサイズに収めたのが「白熱電球」です。しかも白熱電球が発明された当初はまだプランクの法則は発見されていなかったので、根本原理はよく分からないけど便利な道具を作った、という段階だったのでしょう。

人類が居ようが居まいが、この宇宙に存在しているであろう物理法則。それを自分たちに都合がいいように道具にして取り込んでしまう人類。この対比がなんだかすごいなと思ってしまうのです。

もしこの先、何らかの原因で物理法則の知識が人類から失われたら?もしくは物理法則を家電に組み込む方法を人類が忘れてしまったら?もう一度、今のような便利な家電はできないのでは・・・。そんなことまでちょっと思ってしまいました。次の世代に豊かな実りを引き継いでいきたいものです。

物理に注目しても、人類に注目しても面白く読める「家電は物理学である」、まだお読みでない方はぜひ読んでくださいね!

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