「気楽に物理」が本屋さんに

「気楽に物理」が本屋さんに

お知らせしました通り、2012年1月19日にカガクのじかんの本「気楽に物理」が発売されました。まだ見かけたことのない方は、ぜひこのかわいい表紙を目印に、本屋さんで探してみてくださいね。呉市にお住まいの方は、「くれえばん」さんに記事を載せていただいたのをご覧いただいたかと・・・(願望)。

今日は前回に引き続き、この本を執筆しながら思ったことを書いてみますね。

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「実感する」ということ

前の記事でも書きましたが、本書のテーマ(もちろんこのブログのテーマでもあります)は、「実感してみること」です。

とはいっても、実感のツボは人それぞれでしょうから、私がどういうところで「実感」を得たのか、もうちょっと例を出してみたいと思います。

だいぶ前に「空の向こうのお話」を書きました。このときまで、「地球の半径は6400km」「月の半径はその1/4ぐらい」「地球と月の距離は38万km」ということは知っていたのです。ところが、それを絵に直してみたのはこのときが初めてでした。そのとき仰天したのです。こんなにも地球と月は離れているのかと。

余談ですが、日本の国土の面積は38万平方km(→参照)で、同じ38万なので小学生のときからずっと覚えているんですよ。でも遠さを実感したのはこのときが初めてでしたね・・・。

 

同じようなことは、「はやぶさが帰ってくる」を書いたときにも思いました。地球と太陽の距離は1億5000万km。光の速さで8分20秒。そんなことは小学生のときから知っています。でも、あんなに遠い地球と月がくっついて見えるぐらい遠いとは・・・。あまり考えたことがなかったんでしょうね。この記事を書いたことがきっかけで、気が遠くなるような「実感」を覚えることができたのです。

 

これらは、「数字を覚えていることは、実際にわかるのとはちょっと違う」という好例ですね。まあよくある話といえばそれまでですが、「実感した」ときの喜びは貴重なものでした。

その他にも

本書には入れていませんし、そもそもまだ「カガクのじかん」にも書いていないことで、いくつか「実感のタネ」があります。

その1: 光が伝わるのには時間がかかる。だから、今自分が見ている周囲の物事は、「今」はその姿ではないのだ。

これは私の大学院時代の後輩が力説していたことです。例えば目の前(3m離れているとしましょう)の人が右手を挙げているとします。しかしその姿が目に入るためには、光が3m伝わってこなければなりません。光の速さは秒速30万kmですから、3mを伝わるためには

3m ÷ 30万km/秒 = 0.00000001秒

ほど、時間がかかるわけです。ですから、「今」見えている姿は実際には0.00000001秒前の姿なのですね。

同じように、「今」見えている太陽は8分20秒前の姿ですし、もっと遠くの星や銀河は、もっと昔の姿を見ているわけです。この原理は、天文学を研究する上では基礎となっています。

その2: 黒点はそんなに黒くない。

黒点って、確か中学の理科で勉強しますよね。太陽の表面にある、黒い点々です。

黒点はどうして黒いかというと、周囲よりも温度が低いからです・・・という風に習いますよね。ちなみに周囲の明るいところは約6000℃、黒点は約4000℃です。なるほど、と勉強したような記憶がありますが・・・。

でもちょっと待ってくださいよ。6000℃のところはあんなにまぶしいんですよ。それが4000℃になったぐらいでなぜ真っ黒になるのでしょうか。これって不思議だと思いませんか?

・・・というような疑問を先日猛烈に感じまして、太陽に詳しい方に教えを請いましたところ、やはりどうやら黒点はそんなに真っ黒ではないのだそうです。周囲と比べると10分の1ぐらいの明るさなのだとか。ということは、もし太陽の表面全てが黒点で覆われたら?あのまぶしい太陽の明るさが10分の1になったら?どう見えるんでしょう。いつか記事にしてみたいなあと思っています。

 

おそらく、こういう「実感のタネ」はあちこちに転がっているのだと思います。ですから、「気楽に物理」を読まれた方が、自分なりのタネを見つけてくださったらいいなと思っています。

なくなる前に

というわけで、いろんな方に読んでいただきたいなあと思っています。絶版になる前に・・・じゃなかった、売り切れになる前に、一度本屋さんで手に取ってみてください。近くの本屋さんに置いていない!という方は、とりあえず通販など・・・(立ち読みができなくて不便ですけどね)。

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