「空気のお話」に「こぢんまり」さんから頂いたコメントをもとに、高い山に登るとどうしてお菓子の袋がふくらむのか、考えてみました。
高い山に登ると空気がうすい、とよく言いますね。「こぢんまり」さんも書いてくださっていましたが、お菓子の袋を高い山に持って行くと、ぱんぱんにふくらみます。
これは広島県呉市(海のすぐそば)と長野県の美ヶ原(標高およそ2000m)で、同じポテトチップスの袋を比べたものです。明らかに美ヶ原では袋がふくらんでいます!
なぜふくらむ?
地球をとりまいている空気は、あらゆるものを押します。上からだけでなく、ヨコからも下からも押します。これを「気圧」といいます。
ポテトチップスの袋もこの「気圧」に押されています。袋の中にも気体があって、「気圧」に対抗して押し返しますから、いつも見るような大きさに落ち着くわけです(袋の中に気体がなかったら、外からの「気圧」でペチャンコにつぶれてしまいます)。
ところが高い山に登ると、この「気圧」が小さくなります。したがって、袋はあまり押されなくなり、内側から押し返す力によってふくらんでしまうのです。
なぜ高いところでは気圧が低い?
そもそも気圧が生じるわけは、「上に空気が乗っかっているから」です。
「空気のお話」で触れたように、地面から80kmぐらいの高さまで空気があるのでしたね*1。空気はいくら軽いといっても重さがゼロではありませんから、80kmぶんもの空気があると、地表では大変な力になります。
ということは、高い山に登ると、それだけ「上に乗っかっている空気が少ない」ということが分かりますね。つまり、高い山では気圧が小さくなるわけです。
生き物は大丈夫
私たちの体もこの気圧で押されていますから、高い山に登るとふくらんでしまうのでは!と一瞬思ってしまいますが、そうはなりませんね。つまり、私たちの体は、ポテトチップスの袋のように「内側の気体が押し返している」のとは違う仕組みになっているということですね。よかったですね。
↑こんな風にはなりません(笑)
ところで、「うすい」の・・・?
と、思われた方は大変スルドイですね。今回のお話は「高い山に行くと気圧が下がる」という内容なので、必ずしも「高い山では空気がうすい」ということに直結するわけではありません。
では「空気がうすい」ってどういうことでしょう?・・・長くなりそうなので今回はここまでとして、またいつか続編を書きましょうね。
参考
-
- 一般気象学 第2版(小倉義光 著)
ほかのブログへ
↑クリックするといろんな科学ブログを探せます。ついでに「カガクのじかん」のランキングも上昇します(ありがとうございます)
*1:それより高いところにもありますが、徐々に組成が変わるようです。