2010年4月はスペースシャトルの打ち上げ、5月は「あかつき」「イカロス」などの人工衛星の打ち上げ、そして6月は「はやぶさ」の帰還など、宇宙船・宇宙探査機に関するニュースをたくさん目にしました。
「ロケット打ち上げ」や、「宇宙空間を飛ぶ」などと聞くと、何か別世界のことのように感じますが、原理は意外と簡単らしいんですよ。今回はこれを紹介してみます。
何かを押せば反動がある
床に置いたもの、例えば教室の机を、ドンと突き飛ばしてみるとどうなるでしょう。体が反対側にのけぞってしまいますよね。
もし、机の脚にコロがついていて、自分もローラースケートをはいていたらどうでしょう。机は突き飛ばした向きにすべっていって、自分は反対向きにすべっていくでしょうね。
これは別に机でなくてもよいのです。例えば、ローラースケートをはいて、ボールを思いっきり投げると、自分はボールの反対向きにすべってしまいます。このような現象を「反動」といいます。
反動で飛べるのか?
では、ボールを下向きに投げたらどうなるでしょう。上向きに反動を受けるはずですね。ということは、空に浮かぶことができるのでしょうか?でも・・・実際にやってみると、うまく体は浮かびませんね。なぜでしょうか。
これは、ボールを投げた程度では、反動で得られる力が小さすぎて、体を浮かせるほどの力にはならないからです。しかし、もっと重いもの(質量の大きなもの)を、もっとすごい速さで下向きに投げつければ、大きな反動が得られて、体を浮かせることができます。
ロケットも反動で飛んでいる
ロケット打ち上げに使われるエンジンも、実はこの反動を利用しています。ボールのかわりに、燃料が燃えてできた高圧のガスを下向きに吹き出して、その反動で飛び上がるのです。
ちなみに、「はやぶさ」の軌道修正に使われているエンジンは「イオンエンジン」といって、電気の力でイオンを加速して放出し、その反動で飛ぶという仕組みです。
ロケット打ち上げのエンジンと比べると、「少しずつ、すごいスピードで」イオンを放出するという特徴があります。そのため、力は弱いかわりに、軽くて長持ちするエンジンになっています。
作ってみます?
まあ、仕組みは簡単でも、実際に作るのは大変なことに違いありません。一般の方が気軽に参加できるのは「ペットボトルロケット(水ロケット)」の組み立てでしょうね。お近くでイベントがありませんか?全国規模では「水ロケットコンテスト」というのがあるようですよ。
この話は「気楽に物理」にも収録されています。
参考
出典
この記事はちゅーピー子ども新聞 2010年6月号(6月1日発行)10面に掲載した記事を加筆修正したものです。
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