「偏光板(へんこうばん)」という板があります。サングラスのように黒っぽくて向こうがすけて見えるうすい板です。学校に通っている人は、理科室に置いてある場合がありますので、ぜひ理科の先生に聞いてみてください。インターネットの通信販売などで買うこともできます。小さくてよければ、そんなに高いものではないので、この機会に買い求めてみてはどうでしょう。
ではちょっと遊んでみましょう。
2枚組み合わせてみましょう
非常にポピュラーな遊び方ですが、2枚の偏光板を手元に置いて、次のようなことをしてみてください。
(1)1枚の偏光板を通して、まわりを見てみましょう。きっと「うすぐらい景色」が見えると思います。
(2)2枚の偏光板を重ねて、まわりを見てみましょう。1枚は動かさず、2枚目だけをゆっくり回転させてみると、どう見えるでしょうか。おそらく、回転させるにつれて重なっている部分の景色が暗くなっていき、90度回転させたときにはほぼ真っ暗に見えなくなってしまうと思います。
なぜ?の前に「光はどういうものか」
なぜこうなるかを知るには、偏光板のこと以前に「光はどういうものか」ということを学ばないといけません。聞いたことのある人も多いと思いますが、光は「波」の性質を持っています。長なわ飛びにつかう「なわ」を地面に置いて、手ですばやく左右に振ってみると分かりやすいのですが、グニャグニャした形が向こうに伝わっていきますよね。あのような現象を「波」といいますが、光もそのようにして振動が伝わっていく現象なんですよ。
ただし光の場合は、なわのように「地面に平行」などと振動の向きが決まっているわけではないので、いろいろな向きの振動がまじっています。次の図には「上下向き」の振動と「左右向き」の振動の2つが登場しています。「上下向き」と「左右向き」が合わさると、本当は「斜め向き」の振動として表現した方が適切だと思うのですが、ちょっとこの後の説明との関係で、次のような図にしました。
教科書などで「電磁波」というものの説明を見たときに、これと同じような図が出てくると思いますが、それは「電場」と「磁場」を表したものです。
それに対して、上の図で表しているものは「電場」だけで、「電場」が上下向きに振動している場合と左右向きに振動している場合を表しています。
ちょっと紛らわしくてスミマセン。
偏光板のはたらき
偏光板は、決まった向きの振動だけをさえぎるはたらきをする板です。次の図のようなイメージです。
ですから、2枚の偏光板を90度ずらして重ねると、1枚目を素通りした光も2枚目でさえぎられてしまうため、見えなくなってしまうというわけです。
ちょっと長くなってしまったので一旦ここで終わりますが、この話もう少し続きます。偏光板でまわりを観察すると、結構おもしろいんですよ。ぜひ理科室で見せてもらうか、購入してみてくださいね。
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出典
この記事はちゅーピー子ども新聞105号(2014年3月16日発行)7面に掲載した記事を加筆修正したものです。
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