「視点を変えるのお話」では、電車に乗ってハンカチを落としたとき、電車の中から見たときと外から見たときでハンカチの落ち方が違って見えるという話を紹介しました。電車の中から見るとハンカチは真下に落ちますが、電車の外から見ると(ハンカチはもともと電車と同じ速さで前に進んでいたので)前+真下で斜め下向きに落ちるように見えるのでした。
今回はもう少し難しい状況について考えてみましょう。回転する円板の上に、ボールを持ったリスが立っているようですよ・・・?黄色いのが「リー君」、ピンクのは「スーちゃん」、円板の外に立っている黒いのは「ハカセ」です。
円板の外から見ると
一定の速さで回転している円板の中心に立っているリー君が、円板の端に立っているスーちゃんに向かってまっすぐボールを転がすことを想像してみてください。
円板はつるつるしていて、ボールが減速したり曲がったりはしないと考えてください。
これを円板の外から見るとどう見えるでしょうか?上図の左上に立っているハカセの視点です。
ボールは最初は円板の中心にありました。円板って、外側は速く回っていますが、中心に近づくほど回る速さが遅いですよね。そして中心点では速さがゼロになっています。つまりボールの「もともとの速さ」はゼロです。
そこでボールを転がすわけですから、ボールは単純に「転がした方向にまっすぐ転がっていく」はずですね。
ところがボールが転がっていく間に円板は回っていきますから、ボールが円板の端に届いたときにはスーちゃんは回ってしまっています。ですからスーちゃんにはボールが届きません!
全部まとめてみた図はコチラです。
一緒に回りながら見てみると
では、円板の上に立ってこの状況を観察するとどう見えるでしょう?
ボールが外側に向かって1マス進むたびに、円板の上に青いあとをつけてありますので、もう一度先ほどの図をよく見てみてください。
この図で分かるように、円板の上ではボールは投げ出した向きから右向きに曲がっていくのです。ちゃんと計算すると、もし円板が大きければ、うずまきのように何度でも回ることも分かります。
図だとどうも・・・という方はコチラの動画をご覧ください。
どうです?外から見たらまっすぐな動きでも、円板の上では曲がって見えること、お分かりいただけますかしら・・・。
GIFアニメも作ってみましたのでどうぞ。
ひょっとして難しくて目が回りましたか?この話、もうちょっと続きます。
視点を変えるシリーズへのリンク
【1】視点を変えてみる|【2】回りながら見る|【3】続・回りながら見る|【4】コリオリの力
出典
この記事はちゅーピー子ども新聞 2009年10月号(10月1日発行)10面に掲載した記事を加筆修正したものです。
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