回転する円板の上でボールをまっすぐ転がすと、曲がって転がるように見えるという例を2つ示しました(中心から外に転がす・外から中心に転がす)。
今回は一応「まとめ」のようなお話です。
コリオリの力
円板が反時計回りに回っている場合、円板の上に立って観察すると、ボールは進行方向に対して右向きに曲がります。ちなみに円板が逆向き(時計回り)に回ると、ボールは左向きに曲がります。このような、ボールを横向きに曲げる力のことを「コリオリの力」、または「コリオリ力(りょく)」といいます。
コリオリの力を確かめられる?
実際に回転している円板に乗って確かめてみたいですよね?でもなかなかそんな機会は・・・いえいえ、とんでもない。あなたの足もと、回ってますよ!
皆さんご存じのように、私たちが暮らしているこの地球は自転しています。自転している地球を北極から見ると「反時計回り」、南極から見ると「時計回り」に回っていることが分かります。
ということは、日本など北半球ではボールは右向きに、オーストラリアなど南半球ではボールは左向きに曲がるに違いありません。なるほど、広島カープの安仁屋投手(古!)の鋭いシュートはコリオリ力によるもの・・・いや冗談です。残念ながら、ちょっとボールを投げたぐらいでは曲がっていることは確かめられません。これは飛行距離が短すぎるためです。
でも、もっと長い距離を飛ぶもの(ロケットなど)は、「コリオリの力」を受けて曲がっていくはずです。
台風など
それから、台風のような大きな渦がありますね。あれぐらい大きいと「コリオリの力」の影響があります。台風では、中心に向かって風(空気)が吸い込まれています。北半球の場合は吸い込まれながら「コリオリの力」を右向きに受けるので、結果的に反時計回りの渦巻きになります。南半球では逆なので、時計回りの渦巻きになります。
実際、これまで撮影された北半球の台風と、南半球の台風(サイクロンといいます)の写真を、「デジタル台風」というサイトで見ることができます。確かに逆向きになっていることが分かりますよ。
視点を変えるシリーズへのリンク
【1】視点を変えてみる|【2】回りながら見る|【3】続・回りながら見る|【4】コリオリの力
出典
この記事はちゅーピー子ども新聞 2009年12月号(12月1日発行)10面に掲載した記事を加筆修正したものです。
参考
- 一般気象学 第2版(小倉義光 著)
- デジタル台風
- 北海道大学大学院 環境科学院 長谷部教授のホームページより 地球上でのコリオリ力
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